WEBでモノを売るということ

ECディレクターが考えるこれからのwebビジネスについて

客単価とはビジネスモデルである

こんにちは!ECディレクターの岩下創です!

今日は客単価についてお話をしたいと思います。

「値決めは経営」とは日本を代表する経営者稲盛和夫さんの言葉ですが、商品の価格というのはそのビジネスを語る上でとても重要な要素です。
例えば同じ「寿司屋」でも、回るお寿司屋さんとカウンターのお寿司屋さんではイメージする「客単価」はだいぶ違うと思います。全国チェーンのハンバーガーショップと、Shake ShackやUMAMI BURGERなどのお洒落なハンバーガーショップでも同じことが言えると思います。
利幅を少なくして大量に売るのか、それとも少量であっても利幅を多く取るのか、シンプルですが、ここには何通りもの解があり、それによってそのお店のスタンスが決っていると言っても過言ではありません。

今回はそんな重要な要素である客単価を掘り下げていきたいと思います。

集客と客単価は商売の両輪

小売り店の売上というのは『客単価』×『購入客数』という単純な掛け算で決まります。
どんなに小難しいビジネス論も結局はこの2つのどちらか、もしくはそれぞれを上げるためにあるものです。

「安くして沢山の人に買ってもらう。」「高いけれどターゲットを絞って確実に買ってもらう。」
方針によってスタイルは様々ですが、基本的にはこの2つの要素のバランスで出来ています。

『購入客数』を増やす施策はこのブログでも過去に集客・接客・追客とお話してきました。
流れとしては、まずお客様にECサイトに来てもらい、実際に購入してもらい、リピートしてもらう。
これは非常に大変で重要なことです。

ですが、そうして苦労して購入客を増やしても、掛け算のもう一方の数値である『客単価』が低過ぎると売上は向上しません。
当然商品価格が安ければお客さんは商品をたくさん買ってくれるかもしれませんが、儲けは少なくなってしまいますよね。

そういった意味で「集客」と「客単価」は商売の両輪。どちらのバランスもかけてはいけないと考えて頂ければと思います!

ポイントは「質」と「量」

では『客単価』を上げるためにはどのようなコツがいるのでしょうか?
「商品の値段を設定するだけじゃないか」と思うかもしれませんが、
単価設定以外でも客単価を上げる施策はいくつもあるんです。

順番に解説していきますが、ポイントは『量』と『質』です。

ポイント①『量』購入商品数を増やす
安いはずのファストフードで昼ご飯を食べたら、意外と1000円近く使ってしまった!
なんて経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
僕はしょっちゅうあります(笑)
そう、某ハンバーガーショップだと、なんとなくセット買いしちゃうんですよね。
ハンバーガー単品は500円以下でもとコーラとポテトのセットで700円、さらにナゲットもつけて800円!
なんてことあるかなと思います。
「ポテトも一緒にいかがですか?」「セットの方がお得です!」「いくら以上だとポイントが2倍になります!」
などという提案をして”購入する商品自体”の「量」を増やす手法は、客単価を上げるうえでは最もスタンダードなやり方です。食べ物以外でも、靴を買った時に防水スプレーやスペアの靴紐を勧められたり、スーツを買うときに、パンツ部分の滑り止めオプションや補強裏地などをおすすめされるなど、皆さんも思い当たるケースがあるのではないでしょうか?
こういった他の商品などを併せて購入してもらう手法のことを業界では『クロスセル』と呼びます。
ただこのクロスセルで気を付けておきたいのは「いっぱい買ってもらおう!」とやみくもにセット提案をするのではなく、あくまでもお客様の要望に合わせたwinwinの提案をすることです。
ECでは、購入の障害になるような事があるとお客さんは簡単に離脱(サイトから離れること)してしまいます。
「あ、そういえばこれもあった方がいいな」とつい思わせるようなセット組みや「一緒に買うとこんなにお得なのか!」と思わせるようなサービス内容など、お客さんにとってのメリットを第一に考えましょう。
そして、実はECではクロスセルの施策を非常に打ちやすいです。
「この商品を買った人はこの商品も買っています」「これとこれを合わせて購入する」など、Amazonなどで商品を購入する際は必ずクロスセルの候補がページ上に表示されますよね。
店頭販売では、その顧客の購入履歴や趣味趣向などを見分けて、合いそうなアイテムを提案するというサービスを量産することは難しいですが、常にデータを基にした接客ができるECならではの客単価の方法です。
この他にも合わせ買いで使用できる電子クーポンの発行、関連商品のまとめ買いボタンの設置など様々なことが可能です。
通販ならば「〇〇円お買い上げで送料無料」なども複数買いにつながるかもしれません。
独自の技術で合わせ買いのシステムを開発できなくても、楽天やyahoo!ショッピングなどのモールや、汎用的なカゴシステムでもこれらのサービスが用意されていることも多いので利益を確保するためにでぜひ試してみてください。

ポイント②『質』グレードの高いものを購入してもらう。
そして客単価を上げるもう一つの要素は『質』です。
購入商品数を上げるのではなく、価格自体が高い商品を選んでもらうのがこの施策です。
例えばハンバーガーショップの例で言うと、プラス100円でパティが2倍になります!といった提案を行うことです。
これは『アップセル』とも呼ばれる手法で、提案商品よりも単価が高く、グレードの高いものを提案して購入いただくという施策です。
ですが、これってお客様にとってはより高い方を押し売りされているように捉えられるかもしれませんよね?
お客様にとっては、当然通常より高いお金を出すには理由が必要です。そこで自然にアップセルをするためのポイントを2つ紹介します。
・付加価値を可視化させる
ただ単に金額が高いだけでなく、高い方だからこその『購入する理由』が明確になっているということが大切です。
「上位機種なら性能もよくてオプションも多い」「あと1万円払えばメモリ容量が倍のPCを選べる」などメリットを明確にしましょう。
その他にも期間限定の特別価格、数量限定など「ちょっと高くてもこっちがいいかも」と思ってもらえるワードを探しましょう。
・落としどころを作る
例えば家電製品で上位機種と下位機種で値段の差がそれほどなかった場合、少し高いくらいなら上位機種を買ってもいいかなと思うかもしれないですよね?
実はこれ、上位機種を安くしてるわけではなく、下位機種を高めの単価に設定することで上位機種を選ばせるという戦略だったりするわけです。
このようにいくつかの選択肢があってお客様が迷ったときに、一番手に取りやすい落としどころとなる価格帯を意図的に設定することで自然なアップセルができます。
似たようなケースですと、ウナギ屋さんで、うな重のランクを松5000円 竹3000円 梅1000円のように3段階に分けた場合、竹に需要が集中するといわれています。
これは『極端の回避性』という心理により、両極端の選択をしてリスクを負うよりは安全な中間を選ぼうという『落としどころ』ができると言われています。
ただ、ECの場合消費傾向がやや特殊で、お店で購入する時に比べて、周りの目がない分「梅」つまり一番安い価格帯の購入比率も多いとされているため落としどころも少し変わります。

そのため、下のランクの価格を少し高めに設定したり、逆に高いランクの価格を引き上げ、中間のランクでも「これぐらいが妥当な金額だな」と落としどころを付けられるようにしましょう。
高額な商品を用意できないようなら、受注発注として掲載し在庫を持たないという方法もあります。
そうした高額商品を置くことで、店舗の標準の価格帯の底上げを狙っていけばおのずと客単価も上げることができます。

それでも値上げを検討しましょう
ここまで商品自体の単価設定とは別の方法で客単価を上げる方法を説明してきましたが、
場合によっては商品価格を上げる検討も必要です。

当然ですが、店舗の客単価の指標を上げるためには「商品価格を上げる」という手段が一番手っ取り早いです。
競合との価格競争が激化して低価格化に歯止めがかからなくなってしまった。
原料が値上がりして全然利益が取れていない。
そんな時に無理をして今までの価格を貫いた結果、利益を減らしてしまうよりも、純粋に値上げをして客単価を上げた方が良い場合もあります。

もちろん値上げした分お客様に還元していくことが大切ですが、お客様にとっても、自社にとっても正当な取引ができなければ商売自体が長続きしなくなってしまいます。
適正価格は何か?そしてその価格がアップしても買ってもらうためにはどのような付加価値を付けられるのか?
を考えていくことが重要かを常に考えていきましょう。

さいごに

今回は客単価の大切さと、それを向上させる方法についてお話してきました。
冒頭にも書きましたが、客単価はビジネスの方向性を決める重要な要素です。
客単価を見直すとともに自分がそのジャンルでどのポジションにいるのか?
そしてそれは意図的にできているのか、それとも意図せずその位置に押しやられてしまっているのか?を見極めながら、是非この記事を参考に、経営に合った価格設定とアプローチをして客単価を上げていって頂ければと思います。
過去の集客関連の記事と合わせて売上・利益の向上に役立ててください。

それでは!

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岩下 創

【株式会社BACKPACK代表 ECディレクター、ライター】 東京都出身。食品会社、自動車部品会社での勤務を経て、株式会社SEETHELIGHTに入社。メンズファッションECサイトの運営、クリ...

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