WEBでモノを売るということ

ECディレクターが考えるこれからのwebビジネスについて

集客の4大ポジション

僕は、店舗さんと集客について考える時、まずは多種多様な集客施策を
「ホームランバッター」「ヒットメイカー」「スポンサー」「投資家」の4種類に分類します。
なので店舗さんと僕の会話には「この施策はホームランバッターだねー」「ここは投資家としてまずはスタートして…」なんていう謎の会話が繰り広げられます(笑)

どの施策がどのポジションに当てはまるのかは、以下のチャートで分類します。


一見よく分からない表ですが、しっかり説明しますのでおつきあいください(笑)

この図は集客を2つの軸で評価し、分類をしています。
まずはこの2つの軸から説明します!

【投資するコストの軸(横軸)】
・無形資産(←)
専門知識、アイディア、知名度など形のない財産のこと。
・資産(→)
「資金」や「人手」など有形の財産。専門家への「外注」も含む。

集客スタイルの軸(縦軸)
・プッシュ型(↑)
店舗から不特定多数のユーザーにアプローチする集客スタイル。
・プル型(↓)
検索などユーザーからアクションをとってサイトに呼び込む集客スタイル。

上記を踏まえて先ほどのチャート図のポジションの解説をします。

ホームランバッター(無形資産、拡散性)
自分の実力で、大きな成果を出すホームランバッターのように話題性やアイディア(無形資産)で拡散力のある集客を狙うポジションです。
具体的には「バズマーケティング」と呼ばれる話題性による拡散力を狙った口コミ施策や、商品やサービスを報道機関やニュースサイトに向けて告知・発表するプレスリリースなどの手法があげられます。
また、特殊な例ではインフルエンサー(SNSなどの知名度などから影響力の多い個人)の方がその知名度(無形資産)を活用して集客をする場合もこのポジションに含まれます。ただ、しっかり実績が出るかは無形資産の質やタイミングに左右されるため同じ成果を出し続けるのはやや難易度が高いです。

ヒットメーカー
次々とヒット商品を開発するヒットメーカーのように自分達のノウハウやセンス(無形資産)で、継続的な集客を目指すポジションです。
カスタマーが求める情報を提供する事で信頼関係を築き、集客・接客を行う「コンテンツマーケティング」や自分の知識を使用して、検索上位にサイトを表示させるSEO対策などがあげられます。

スポンサー
資金を提供することで大きなイベントを行うスポンサーのように、資金や人手(資産)を投入することで拡散力の高い集客を狙うポジションです。
ディスプレイ広告(バナーなどで知らせる広告)やインフルエンサーに商品や資金を渡して宣伝してもらう、あと大きな話で言えばテレビCMなんかもこれに当たります。

投資家
資金を提供して継続的なリターンを狙う投資家のように、資金や人手(資産)を使って「継続的な集客」を狙うポジションです。
キーワードをもとに広告を表示させるリスティング広告、ブログで商品を紹介してもらうアフィリエイトなどがこれに当たります。

上記、分かりやすいように代表的な施策を例に挙げましたが、払うコストと実際の効果の割合によってはそのポジションは変わります。

例えば「SNSを使って集客をしよう!」となった場合でもtwitter等で話題性のある投稿をして「バズらせる」場合は「ホームランバッター」ですが、Instagramのフォロワーを増やして持続的に集客をするなら「ヒットメーカー」
また、SNS広告を使ったり、インフルエンサーにお金を払ってサイトに誘導するのは「スポンサー」になります。

それにコンテンツマーケティングをやった場合でも、人手を使うだけで特に無形の付加価値がないのなら無形資産より資産(人件費)の割合が多いので「投資家」のポジションになります。

さて、それでは、あなたがやろうとしている施策をこれに当てはめてみましょう。

どの集客をすればいいか見当もついていない場合は、自分たちが支払えるコスト(資産または無形資産)は何かを考えて決めていきます。
また、プッシュ型かプル型かについては「タイミング」が必要かどうかで判断しましょう。
「これはトレンドのアイテムだからこのタイミングで売らないといけない」
「一度知ってもらうタイミングさえあれば絶対に売れる」
こんな感じで「タイミング」がモノを言うシーンでは、不特定多数のユーザーに短時間でアプローチできるプッシュ型を検討しましょう。
特にタイミングはなく、継続的に集客をしたい場合はプル型です。

…いかがでしょうか?
自分たちの集客が「何を元手に何を狙ってやっているか」が分かってきたのではないでしょうか?
このように「現在地」を把握することで「自分たちの手持ちのコストで何ができるのか?」が明確に解り、見合わないコスを費やしたり、見当違いな集客を知らずに続けることがなくなります。

判断の基準は「時間」

さて、ポジションが分かったら次は検証を行います。チャートによってポジションを見極めるのは、あくまでも「現在地」を示しているだけなので、実行した施策が合っているのかは、結果を検証して「方向性」を修正していく必要があります。
その検証に使う基準が「時間」になります。
必要なコスト(資産か無形資産)とスタイル(プッシュ型かプル型)が分かったところで目指している成果に到達するまでどのくらいの「時間」がかかるかをシミュレーションしてみます。
例えば、ブログを開設したら「半年の間に月間1,000UU(アクセス人数)を目指す!」といった感じです。

ここはかけられるコストによっても変わるのですが、一般的にプッシュ型の施策は1か月以内、プル型の施策は半年以内のスパンで定点観測すれば良いかと思います。
リミットを設定した時期になって、もしも目標を達成できない場合は、少しだけ軸をずらすことでやり方を調整します。
例えば専門知識を中心としたコンテンツ作成のブログなら、適度に時事ネタなど話題性がある記事を混ぜてプッシュ型の軸に寄せてみたり、コストの軸を少し資産側に寄せて、人手をかけて記事数を増やしてみるなどです。
リミットに達した時に、予測の数値にたどり着け無そうであればその施策をやめて一から考え直すのも当然ありですが、プル型の施策は効果が出るまでに非常に時間がかかるので、コストが続く限りは無理の無い運営方法を探してなるべく持続して運用していきましょう。

チャートで複数施策のポジショニングをする

リスティング広告(検索キーワードに応じて表示される広告)とブログなど、通常店舗さんでは集客施策を複数行っているケースが多いかと思います。
そうした時にこのチャートに当てはめてみていただくと「うちの会社は集客にお金ばかり使っているな…」とか「単発的な集客施策に偏ってしまっているな…」など会社全体の集客への課題が見えてきます。
ぜひ、チャートを利用して施策のバランスを見直してみてください。

最後に

以上、集客計画とポジション取りについてお話してきました。
最後に、集客施策についてポジションを把握する以前に、大前提として意識していただきたいのは、お客様に来ていただくためには「まずこちらから何かを差し出さないといけない」
ということです。
よく、集客についての話をしていても「お金も人手もかけたくない、それといってアイディアもない。けど客さんには今すぐたくさん来てもらいたい!!」なんてことを大真面目に言われます(笑)しかしそれは、何度もダイエットに失敗しておいて「好きなモノ食べて寝てても痩せる方法無いかな~」と言っているのと同じです。

確かに今の時代、お金や時間をかけなくても集客が可能にはなりました。
でもそれは、それらと同じか、それ以上の「何か」を元手に集客を行っているのです。

自分たちが差し出せるものは何か?言い換えれば、お客さんがわざわざアクセスしてくれるような価値が自分のお店にはあるのか?それは何なのか?
どうやってそれを磨かなければいけないのか?

・・・

ああ、頭が痛いですね(笑)

でも、そこに真剣に向き合って、
「わざわざ来てもらえるお店」を目指していきましょう!

それでは今日はここらへんで!

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岩下 創

【株式会社BACKPACK代表 ECディレクター、ライター】 東京都出身。食品会社、自動車部品会社での勤務を経て、株式会社SEETHELIGHTに入社。メンズファッションECサイトの運営、クリ...

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